紡織関連の大阪の工場でアスベスト(石綿)を扱う作業に従事し、肺がんで死亡した元従業員の女性の遺族2人が会社に損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁は20日、遺族1人当たり約1340万円の支払いを命じた。
田中秀幸裁判長は判決理由で、女性の在職期間には排気装置が設置されておらず、作業中にアスベストの粉じんを吸い込んだと認定。「設置の義務を怠るなど、安全配慮義務違反があった」と述べた。
判決などによると、女性は1955年から約4年間、三好石綿工業(現在のエム・エム・ケイ)の大阪工場で石綿の製造作業に従事。2019年に肺がんと診断され、80歳で死亡した。
埼玉県内に住む女性の長男(61)と長女(60)が昨年6月、1人当たり約2250万円の賠償を求めて地裁に提訴していた。国を相手とした訴訟は既に和解が成立している。
(共同通信社)