出産費用、昨年比2万円増 物価高影響、厚労省集計

 全国の民間病院や公的な医療機関などの平均出産費用が、5月は50万3千円となり、昨年と比べ2万円超増えたことが7日、厚生労働省の集計で分かった。物価高騰や人件費増が影響した。子どもを産んだ人に給付する「出産育児一時金」が4月に増額されたことも理由に挙がった。
 出産育児一時金は、妊産婦の経済的負担を軽減するため、42万円から50万円に増額。しかし「便乗値上げ」があるとの指摘が出ており、厚労省が医療機関の状況を集計し、7日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)部会で示した。
 正常分娩の平均出産費用について、昨年5月は48万円だったが、今年5月は50万3千円に上昇。アンケートを実施すると、4月までの1年間で44・5%の施設が増額していた。理由を複数回答可で尋ねると「水道光熱費などの高騰」が85・8%で最多。「医療機器の高騰」と「人件費増加」が60%台で続いた。
 ほかに「出産育児一時金が引き上げられ、妊産婦の自己負担への影響が少ないと考えた」とした割合が42・5%に上った。厚労省は便乗値上げを防ぎ、妊婦が医療機関を選びやすくするため、来年4月から病院やクリニックごとの出産費用や分娩件数などをホームページで公表する。
 これとは別に、厚労省は2022年度の全国の公的病院における出産費用(正常分娩のみ)を発表。平均は46万3450円で、21年度と比べ8456円増えた。都道府県別では東京が56万2390円で最も高く、鳥取の35万9287円が最も低かった。
(共同通信社)