北九州市の女性非常勤職員=当時(27)=がうつ病を発症し、退職後に自殺したのは上司のパワハラなどが原因の公務災害だとして、遺族が市条例に基づく遺族補償金約310万円の支払いを市に求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(高瀬順久裁判長)は7日、請求を退けた一審福岡地裁判決を支持し、遺族の控訴を棄却した。
1月の一審判決によると、森下佳奈さんは2012年4月、嘱託職員として戸畑区役所に入り、子どもや家庭の相談業務を担当。11月ごろから、係長のパワハラを受けていると母親らに訴えた。13年1月、出勤しなくなってうつ病の診断を受け、3月末で退職。別の職に就いたが辞め、15年5月に自殺した。
遺族は、非常勤職員の労災補償請求権を認めていなかった条例は違法だとする訴訟を起こし、20年に敗訴が確定。総務省は18年、非常勤職員にも請求権を認めるよう全国の自治体に通知し、北九州市も条例施行規則を改正した。
(共同通信社)