2023年09月08日掲載

BOOK REVIEW - 『人事データ保護法入門』

山本龍彦、大島義則 編著
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 編 
A5判/200ページ/2700円+税/勁草書房 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 人事データは、従業員の属性や人事評価の情報、サーベイの結果や研修受講状況など、従業員にまつわるあらゆる情報を指す。これらのデータはHRテクノロジーの発展と共にその価値を高めてきた一方で、今日では管理システム等で人事データを取り扱う実務担当者には、情報リテラシーと適切な管理スキルが求められるようになった。本書は人事データの保護と利活用の在り方について、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会が、認定資格「人事データ保護士」のカリキュラムに沿ってまとめた一冊である。

■ 第1章は、「総論」と題し、ピープル・アナリティクスとHRテクノロジーの定義や関連法規、政府が公表したAI利用にまつわる各種原則を詳解する。これらは人事データ活用における法令上、倫理上のリスクを把握するために押さえておきたい内容だ。第2章から第6章は、「採用」「モニタリング」「人事評価・配置」「健康管理」「退職」を各章のタイトルに掲げ、それぞれのフェーズにおけるHRテクノロジーの利活用方法と、情報の取得・管理において留意すべき点や規制する法律を解説する。

■ 最終章の第7章は「国際的な人事データの保護と利活用」と題し、欧州と米国のデータ保護体制を中心に取り上げる。また、欧州のデータ保護に関する法令であるGDPR(General Data Protection Regulation:欧州一般データ保護規則)における人事データの取り扱いに関係する項目を取り上げ、国際的な人事データ活用の課題を解説する。本書は「入門」と題するものの、人事データ活用の基礎から国際的な視点まで網羅し、実務担当者として押さえるべき内容を確認するのに最適だ。各章の末尾には「確認問題」が用意されており、知識の振り返りにも役立つ。

人事データ保護法入門

内容紹介
「これからの人事」を身につける。
個人情報保護・データ保護法制を踏まえた人事データ保護と利活用について、幅広く解説する入門書。

人事評価、配置転換、人材採用の場面において、データ利用、AI活用が急速に拡大している現在、個人情報保護・データ保護法制遵守の要請やELSI対応の必要性をふまえて、人事データの保護と利活用のバランスをいかに図っていくか。

企業担当者・実務家必携の人事データ保護に関する入門書。人事データ保護士資格認定講座テキスト。