2023年08月30日  共同通信社

賃上げ、国内投資を促進 税制改正要望、増税も焦点

 2024年度の税制改正に向けた各省庁の要望が30日、固まった。法人税減税による賃上げや国内投資促進といった岸田政権の「新しい資本主義」を後押しする措置が並んだ。価格が高騰している住宅の購入支援や、経営難の地方鉄道の再編促進などと合わせて、政府と与党税制調査会が年末にかけて内容を詰める。防衛力強化のための増税や扶養控除の見直しも議論の焦点となりそうだ。
 物価高に賃金が追い付かない中、経済産業省は従業員の賃金を引き上げた企業の法人税を軽くする特例の拡充を要望。適用期間の長期化や、仕事と子育ての両立を支援する企業への優遇強化に加え、赤字で税優遇を受けられない中小企業に配慮した制度の新設も求める。半導体などの国内生産量に応じて法人税を優遇する制度や、特許や著作権などの知的財産から生じた企業所得に優遇税率を適用する制度の創設も要望の柱となる。
 一方で、各省庁から具体的な要望はないものの、岸田政権が昨年末に打ち出した防衛増税のほか、扶養控除の見直し、同じ会社に長くいる人ほど優遇される退職金課税の見直しも論点となる。防衛財源となる法人、所得、たばこの3税の増税は25年以降になることが濃厚だが、年末にかけての24年度税制改正議論でも詳細を検討する見通し。ただこうした増税項目は衆院解散・総選挙などの政治情勢とも絡むため、議論は曲折も予想される。
 このほか、国土交通省は住宅価格高騰や金利上昇を踏まえた住宅取得促進策を要望。祖父母や父母から住宅購入資金の贈与を受けた際の非課税措置の延長などを想定しているとみられる。経営難の地方鉄道の再編を促すため、土地や駅舎などの譲渡の際に税を減免する特例も盛り込んだ。
 厚生労働省は企業の交際費の一部を非課税にする特例の拡充を目指す。物価高で経営が苦しい飲食店や企業の支援につなげたい考えだ。
(共同通信社)