最低賃金、時給1004円 全国平均、目安額超え24県 地方大幅上乗せ、10月適用

 厚生労働省は18日、2023年度の全都道府県の最低賃金引き上げ額が出そろった結果、全国平均は時給で43円増の1004円になると発表した。増加率は4・5%。国が示した引き上げの目安額に対し、大幅に上乗せした地方が続出し、24県で目安額を上回った。引き上げ後の金額は10月以降、順次適用される。
 物価高に加え、人手不足に伴う隣接県との人材獲得競争が押し上げの背景にある。佐賀は目安額に8円上乗せした。8円は現行方式となった02年度以降で最大。
 最低賃金は全ての労働者に適用される時給の下限額で、毎年見直す。国の中央最低賃金審議会は今年7月、経済情勢に応じ都道府県をA-Cの3ランクに分け、Aで41円、Bで40円、Cで39円引き上げる目安額を決定。各都道府県の地方審議会が実際の金額を議論していた。
 佐賀に次いで山形、鳥取、島根は目安額に7円上乗せした。目安額を大きく上回ったのは他に、青森、長崎、熊本、大分が6円、秋田、高知、宮崎、鹿児島が5円だった。
 Cランクの13県のうち、目安額と同額だった岩手を除く12県が目安額を超える引き上げを決定。エリア別では九州・沖縄全県が上積みした。
 23都道府県は国の目安額と同じだった。目安額を下回った地域はない。最高は東京の1113円、最低は岩手の893円で、差額は220円となり、22年度より1円広がった。
 全国平均について、国は961円から過去最大となる41円増の時給1002円とする目安額を示していた。結果が出そろい2円がさらに底上げされた。
 最低賃金の引き上げにより、配偶者に扶養されるパートらが、社会保険料の発生する「年収の壁」を超えないよう、就労時間を抑える可能性がある。政府は10月から、手取り収入の減少分を穴埋めした企業を支援する制度を導入する方針。
(共同通信社)