賃上げ税制、30年まで延長 子育て支援企業の優遇新設 経産省の税制改正要望

 経済産業省が今月末に示す2024年度税制改正要望の概要が15日、分かった。従業員の賃金を引き上げた企業の法人税優遇策を30年まで延長し、仕事と子育ての両立を支援する企業への優遇措置の新設を求めることが柱。通常は数年の適用期間を大幅に伸ばし、岸田政権の重要政策である持続的な賃上げにつなげる狙いがある。

 経産省は8月末に税制改正要望を財務省に提出し、年末に与党が決定する税制改正大綱に盛り込むことを目指す。

 法人税減税を通じて企業に賃上げを促す税制は安倍政権下の13年度に導入された。現在は給与総額を前年度より増やすなどの条件を満たした大企業や中小企業が優遇対象で、23年度末に期限を迎える。

 経産省は「子育てサポート企業」として厚生労働相の認定を受けた大企業は法人税額から差し引くことのできる「控除率」を5%上乗せするよう要請。賃上げを実施したのに、赤字などが理由で税優遇を受けられなかった中小企業には、未利用分を繰り越せる制度の新設を求める。

 このほか要望では、経済安全保障分野で重要性を増している半導体などの国内生産量に応じて法人税を優遇する「戦略物資生産基盤税制」や、特許や著作権などの知的財産から生じた企業所得に優遇税率を適用する「イノベーションボックス税制」の創設を打ち出す。

 (共同通信社)