遺族年金の男女差是正検討 共働き増、厚労省審議会

 厚生労働省は28日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会を開き、遺族年金の男女差を是正する検討を始めた。現行制度は男性が家計の主な担い手だった時代の考え方に沿う設計となっており、男性への支給要件や内容が女性に比べて厳しい。共働き世帯の増加を踏まえ、男女差を解消するよう見直す方向。具体的な方法も協議していく見通しだ。
 遺族年金には、遺族厚生年金と遺族基礎年金の2種類がある。このうち遺族厚生年金は現在、妻と夫では支給の条件が異なる。例えば、夫が死亡した場合、妻は年齢にかかわらず遺族厚生年金を受け取れる一方、夫は妻の死亡時に55歳以上でなければ支給されないなどの違いがある。
 子どもがいる夫婦のどちらかが死亡したケースで支給される遺族基礎年金には、男女差がない。
 この日の部会では、欧米で既に遺族年金の男女差をなくしている国があることを踏まえ「日本でも解消すべきだ」との声が出た。
 また、厚生年金に20年以上加入して生計を維持する受給者に65歳未満の配偶者や子どもがいた場合、一定額が上乗せ支給される加給年金についても、制度の公平性などについて議論し「将来的に廃止するべきだ」といった意見が出た。
 今後、国民年金保険料の納付期間の延長などが検討項目になる。次期年金制度改革の関連法改正案は、2025年通常国会への提出を目指す。
(共同通信社)