三菱重工業長崎造船所(長崎市)で作業中に粉じんを吸い込みじん肺になったとして、下請け会社の元従業員2人と提訴後に死亡した1人の遺族が約1億560万円の損害賠償を同社に求めた訴訟の判決で、長崎地裁は18日、約1520万円を元従業員2人に支払うよう命じた。長崎造船所でのじん肺被害を巡る集団訴訟の第4陣。原告側は一部請求が認められなかったとして、控訴する方針。
下請け会社従業員への安全配慮義務が争われ、天川博義裁判長は判決理由で「下請け業者が対策を講じることは困難。被告は生命・身体を保護すべき安全配慮義務を負う」と判断した。
一方で請求を認めたうちの1人について、他の作業所での粉じん暴露による影響が大きいなどとして賠償額を減額。死亡した1人の作業とじん肺の関連性は認めたが、提訴時に消滅時効が成立し、合併症の罹患も認められないとして請求を退けた。
三菱重工は「主張が一定程度認められたが、判決文を精査してから対応を検討したい」とコメントした。
同様に、下請け会社の元従業員らが起こした第3陣訴訟で長崎地裁は昨年11月、三菱重工の安全配慮義務違反を認め一部原告への賠償を命じた。原告、被告側双方が福岡高裁に控訴した。
第4陣は、2019年に元従業員4人が提訴したが、うち1人は訴えを取り下げた。
(共同通信社)