勤務していた札幌市の自動車部品商社の得意先や仕入れ先に関する情報を取得したとして、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の罪に問われた元従業員の男女の控訴審判決で、札幌高裁は6日、それぞれ罰金30万円とした一審札幌地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。情報は同法が定める営業秘密には当たらないと判断した。
成川洋司裁判長は判決理由で、営業秘密に該当するためには、情報が有益であるだけでなく、会社が秘密として管理する意思を従業員に明確に示すことが必要だと指摘した。
その上で、同社のシステムでは、得意先の情報以外も閲覧できたのに、改めてIDやパスワードの入力を求めるなどの制限がなかったことから、会社が秘密として管理していたとは言えないと結論付けた。
2人は2020年10月、それぞれ、商社の仕入れ原価や得意先への販売実績などの情報をパソコンに保存するなどしたとして起訴された。
札幌高検の木下雅博次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。
(共同通信社)