富山県滑川市立中に勤めていた40代の男性教諭が2016年、くも膜下出血を発症して死亡したのは長時間勤務が原因だとして、遺族が約1億円の損害賠償を県と市に求めた訴訟の判決で、富山地裁(松井洋裁判長)は5日、部活動などによる過重な業務と発症の因果関係を認め、約8300万円の支払いを命じた。
教員の長時間労働は全国的な問題となり、文部科学省は部活動の地域移行などを進めるが、抜本的な解消に至っていない。判決は改善への議論に一石を投じそうだ。
男性の時間外勤務の多くを占めた部活動指導について、市側は「男性の自由裁量によって行われた」と主張していた。松井裁判長は判決理由で、男性の勤務校では原則全ての教員が部活動の顧問をすることになっていると指摘し「顧問業務が全くの自主活動の範囲に属するものであったとは言えない」と退けた。
判決によると、男性は16年7月、自宅でくも膜下出血を発症し、同8月亡くなった。3年生のクラス担任などの他、ソフトテニス部の顧問を担当。発症前には、大会引率や宿泊を伴う部活動指導や保護者懇談会などのため、連日出勤していた。
18年4月、公務災害と認定された。遺族は市に加えて教員の給与を負担している県を提訴していた。
(共同通信社)
2023年07月05日 共同通信社