留学後退職、費用返還確定 大成建設の元社員敗訴

 社外研修制度を利用した海外留学後、1カ月程度で退職した大成建設元社員の男性が、留学費用を未払いの賃金や賞与で相殺されたのは不当として同社に返還などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は男性の上告を退ける決定をした。28日付。費用相殺は適法とした上で、会社側の提訴に基づいて男性に残額約729万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。
 判決によると、男性は2018年9月に米国の大学に留学。20年5月に修士課程を修了後、退職の意向を会社に伝え、翌6月に退社。留学費用は約952万円だった。
 男性側は留学当時、現地で新型コロナウイルスの感染が拡大していたのに会社が具体的な指示をしなかったことなどが退職の原因だとして「金銭の貸借契約は無効」と主張していた。
 一審東京地裁判決は会社が留学に際し「社外研修生が復職後5年以内に退職する場合、貸与金を全額返済しなければならない」と規定していたと指摘。留学後の会社の対応は「貸借契約の効力を左右する事情とはいえない」として、男性が留学費用全額を支払う必要があると判断した。二審東京高裁判決も支持した。
(共同通信社)