原発労災訴訟で控訴棄却 札幌高裁

 東京電力福島第1原発事故の収束作業中に被ばくし、三つのがんを併発したとして、札幌市の元作業員の男性(65)が、労災と認めなかった富岡労働基準監督署(福島県)による処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁は23日、一審札幌地裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。
 佐久間健吉裁判長は判決理由で、外部被ばくと内部被ばくを合わせた実効線量が100ミリシーベルト未満で、被ばくから発症までも最小潜伏期間の5年を大幅に下回っているほか、喫煙歴や飲酒歴があることを考慮すると、業務起因性は認められないと述べた。
 判決によると、男性は2011年7~10月、福島第1原発の敷地内でがれきの撤去作業に従事。12~13年にぼうこうと胃、結腸のがんを発症した。
 男性は東京電力ホールディングスなどに計約6400万円の損害賠償を求めて提訴。一審札幌地裁が請求を棄却し、男性が控訴した。
(共同通信社)