政府は9日、熟練外国人労働者として永住可能な在留資格「特定技能2号」の受け入れ対象を、現在の2分野から11分野に拡大する運用方針を閣議決定した。今は建設と造船・舶用工業のみの対象分野に、農業や漁業、宿泊など9分野を追加する。労働力確保のため、経済界が対象拡大を求めていた。
パブリックコメント(意見公募)を経て法務省令などを改正し、秋ごろから、2号の資格取得に必要な分野別試験を始める方針。
岸田文雄首相は9日の関係閣僚会議で「人材の円滑な受け入れを促進することが重要だ。深刻化する人手不足への対応として、対象分野を拡大する」と述べた。
特定技能制度は、人手不足が進む中、即戦力の外国人労働者を受け入れる目的で2019年に開始。12分野を対象に最長5年働ける1号と、熟練技能を要する2号がある。2号は配偶者と子どもの帯同が認められ、条件を満たせば永住もできる。いずれも試験などで技能水準を確認する。今年3月末時点で1号は約15万人で、2号は11人。
追加する9分野は、現在1号のみ受け入れており、2号として雇用を続けたいとの要望が各産業分野から寄せられた。制度創設時は永住も可能となる2号を幅広い分野で受け入れることに慎重な意見が多く、対象は2分野にとどまっていた。1号を受け入れる介護は、国家資格を持つ外国人の在留資格がすでにあるため、2号には加えない。
技能実習・特定技能両制度の見直しを議論する政府の有識者会議は今年4月、技能実習を廃止し「人材確保・育成」を目的とする新制度を創設するとの中間報告を公表した。新制度は特定技能と職種をそろえ、円滑な移行を促すとしている。
(共同通信社)