かんぽ不正巡る解雇は有効 札幌、地裁判断分かれる

 かんぽ生命保険と日本郵便による保険の不正販売への関与を理由に懲戒解雇されたのは不当として、日本郵便の社員だった北海道内の50代男性が同社に地位確認などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は5日、解雇には合理的理由があり有効と判断した。全国3地裁で起こされた計6件の同種訴訟は元社員側勝訴が4件、敗訴が2件となった。
 判決理由で右田晃一裁判長は、顧客に解約に伴って発生する損害の具体的金額を説明しないなど、契約が「販売実績の獲得など自己都合でされたと推認される」と指摘。「態様は悪質で会社への背信性も重大」と非難し、解雇は「社会通念上相当で有効」と判断した。
 男性側は控訴する方針。男性側の浅野高宏弁護士は「かんぽ不正問題を現場の労働者のせいにする会社側の姿勢を追認した判決だ」と批判した。
 同種訴訟はいずれも敗訴した側が控訴し、高裁で係争中。他に山口県下関市の元社員が月内にも新たに提訴する見通し。
 一連の不正販売では、旧契約を解約し新契約に加入させる「乗り換え」で顧客に保険料を二重払いさせるなどしていた。
 判決によると、保険販売員だった男性は「意向を把握せず新規契約を結んだ」として、2020年10月に解雇された。
(共同通信社)