2023年05月25日  共同通信社

雇用保険、28年度加入拡大 週20時間緩和、政府検討 子育て世帯を支援

 政府は25日、アルバイトやパートなどの短時間労働者も雇用保険に入りやすくする見直しを2028年度にも始める方向で検討に入った。要件となっている所定労働時間「週20時間以上」より短く働く人が、失業給付や育児休業給付を受け取れるようにし、安心して出産や子育てができる環境を整える。政府が進める「次元の異なる少子化対策」の一環。
 働き方が多様化する中、非正規の立場で働く人の生活基盤やセーフティーネットを強化する。厚生労働省の審議会でどの程度、所定労働時間を引き下げるのか議論し、来年の通常国会への改正法案提出を目指す。
 少子化対策の政府試案に引き下げ方針が盛り込まれ、財務省も早期検討を求めていた。
 現行制度は週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある人が雇用保険の対象となる。21年度末時点で約4400万人が加入。以前は年収による加入制限もあったが、働き方の多様化に伴い01年に廃止となった。時代の変化とともに要件が緩まる中「20時間以上」は約30年維持されている。
 厚労省によると、20時間未満で働く人は増える傾向にある。22年は718万人で女性が7割。見直しで、短時間で働く子育て世帯も育休給付を受けられるようにする。
 新型コロナウイルス禍では、パートやアルバイトを中心に解雇やシフト勤務短縮が相次ぎ、貧困化が問題になった。要件緩和により、格差を是正する狙いもある。
 ただ、雇用保険の対象が広がると、収入増の半面、支出が拡大する可能性もある。コロナ禍の影響で雇用保険財政は厳しく、料率の引き上げも検討課題となりそうだ。
(共同通信社)