建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中皮腫を患った神奈川県の元労働者と遺族計36人が、建材メーカー6社に損害賠償を求めた訴訟は19日、東京高裁(谷口園恵裁判長)の差し戻し審で一部の和解が成立した。ノザワ(神戸市中央区)が4人に解決金を支払う。金額は非公表。残る原告32人との間では31日に判決の予定。
元労働者側によると、2021年の最高裁判決で建材メーカーの賠償責任が一定範囲で認められた経緯を踏まえ、和解条項には原告に謝罪するとの内容が盛り込まれた。都内で記者会見した元労働者側の田渕大輔弁護士は「最高裁判決を重く受け止め、企業として英断したものだと一定の評価をする」と話した。
ノザワは「個別案件の内容で、特にコメントすべき点はない」とした。
神奈川訴訟は最高裁判決で国と建材メーカーの責任が認められた後、一部が東京高裁に差し戻された。高裁では国との間で原告全員が既に和解。メーカーとは責任の範囲が争点となり、昨年11月に和解勧告が出された。
(共同通信社)