再三退職勧奨「パワハラ」 元社長言動や配置転換違法

 聴覚障害者用の人工内耳などを輸入、販売する「メドエルジャパン」(東京)の50代の女性社員が、元社長による度重なる退職勧奨や大幅な基本給減額などのパワーハラスメントを受けたとして、同社に約990万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、慰謝料220万円などの支払いを命じた。
 福田千恵子裁判長は元社長の退職勧奨のうち「マーケティングの知識がない」「誰も一緒に仕事したくないと言っている」などの言動や掃除担当への配置転換、机を他の社員から極端に離した点などを違法だと判断。「意思を不当に抑圧し、精神的苦痛を与えるものだ」とした。
 同社が女性の基本給を一時約53万円から約26万円に減額したのも不当と指摘。1年後に元へ戻して差額も支給したが「大幅な賃下げの打撃や、退職を強いる一環で実施した事情を考えれば差額では償えない」とした。
 判決によると、女性は2010年にマーケティング担当として入社。12年10月以降、当時の社長から繰り返し退職を勧奨されるようになった。
 同社は代理人弁護士を通じ「判決文を精査できていないので、コメントを控える」とした。
(共同通信社)