外国人の技能実習・特定技能両制度の見直しを検討する政府有識者会議は28日、人材育成を掲げる技能実習を廃止し、「人材確保」を目的に加えた新制度創設を提案する中間報告を示した。労働力として明記した上で転籍の要件を緩和し、人権侵害が指摘された実習制度の改善を図る。受け入れの枠組みは維持されており、不適切な事業者の排除や、支援体制の在り方などをさらに議論。秋ごろに最終報告をまとめる。
人手不足の深刻化を背景に、人権に配慮した上で受け入れを進め、技能を習得した外国人材の中長期的な就労を促す狙いがある。技能実習は、途上国に技術を伝える「国際貢献」を目的に1993年創設されたが、実態は労働力の確保策として機能。賃金未払いなどの労働問題や暴力・パワハラが後を絶たず、国内外で批判が高まっていた。
新制度は、非熟練労働者を受け入れて育成し、即戦力として位置付けられる「特定技能」への移行を促すため、両制度の職種をそろえる。労働者として受け入れるに当たり、技能実習では原則不可とされた転籍の要件を緩和する。
新制度でも実習生の受け入れを仲介する送り出し機関や監理団体、受け入れ先の監督や実習生支援を担う外国人技能実習機構は維持される見通し。今後、事業者の要件厳格化や実習機構の体制強化を検討する。
政府は今月、熟練労働者として永住や家族帯同が認められる「特定技能2号」の受け入れ対象を大幅に拡大し、2分野から11分野とする方針も明らかにしている。
有識者会議は昨年12月から議論。大学教授や自治体首長ら15人で構成され、座長は国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長が務める。今年に入り、関係者から聞き取りを重ねてきた。
(共同通信社)