2023年04月14日  共同通信社

退職示唆、55万円賠償命令 ゆうちょ銀行に、水戸地裁

 ゆうちょ銀行勤務時に上司や同僚からパワハラやいじめを受け、抑うつ状態になったなどとして、元職員の大森雄介さん(68)=茨城県城里町=が同社に1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟で、水戸地裁は14日、上司が退職するよう示唆したことなどを認め、同社に55万円の賠償を命じた。
 阿部雅彦裁判長は判決理由で、2013年に上司が大森さんに退職届を書いたかどうか尋ねたことなどを「社会通念に照らして度を過ぎた言動だ」と指摘。別の上司が複数回、大森さんの髪に勝手に整髪料を付け、周囲が止めなかったことについても、同社が職場環境配慮義務に違反していると判断した。
 一方で、仕事を与えられなかったり、罵声を浴びせられたりしたという原告側主張は、証拠がないなどとして認めなかった。
 判決によると、大森さんは1979年に就職、2015年にゆうちょ銀行を定年退職後に再雇用され、18年3月に退職した。
 判決後に記者会見した大森さんは「結果は求めていたものからほど遠いというのが率直な気持ち。悲しいし、怒りを感じる。自分の過去の人生は何だったのか」と納得いかない様子で話した。
 ゆうちょ銀行は「判決書を受領していないため、現時点でのコメントは差し控える」とした。
(共同通信社)