三重県鳥羽市の「鳥羽国際ホテル」での長時間労働が原因で心停止となった元従業員の60代男性が、自身に支給された休業補償給付について算定方法に誤りがあるとして、国に支給取り消しを求めた訴訟の判決で、津地裁は23日、仮眠時間の一部を労働時間と認定し、伊勢労働基準監督署の決定取り消しを命じた。
男性は常に携帯電話を所持させられたなどとして「仮眠時間の全てが労働時間に当たる」と主張。竹内浩史裁判長は判決理由で、仮眠中の緊急対応は例外的だったと指摘する一方で、業務の一部は仮眠時間に及んでいたとし、3時間半の仮眠時間のうち平均1時間20分を労働時間と認めた。
判決などによると、男性は2013年4月から施設管理課長として機械設備の点検や修理、庭園の手入れ、皿洗いなどの業務に従事。16年9月、自宅で心室細動による心停止となり、その後、低酸素脳症などと診断された。伊勢労基署は19年3月、休業補償給付の支給を決定した。
男性は記者会見で「100%納得はしていないが、ある程度認められたのでうれしい」と話した。伊勢労基署は「判決内容を検討し、関係機関と協議した上で判断する」とコメントした。
(共同通信社)