障害者雇用、助成金新設へ 企業向け、既存分の拡充も 厚労省、相談や定着支援

 厚生労働省は21日までに、企業の障害者雇用を支援する助成金を新たに二つ設けることを決めた。雇用経験やノウハウが乏しい中小企業を念頭に、雇い入れ時に支援機関からアドバイスを受けやすくするほか、中高年の障害者が働き続けられるよう定着を図る。
 既存の助成金も額を増やすなど大幅に拡充する。一定規模の企業に義務付けられる障害者の雇用割合(法定雇用率)は引き上げが決まっており、雇用の「量」だけでなく「質」も確保するのが狙い。審議会の了承を経て、来年4月に施行する。
 新設する二つの助成金のうち一つは、企業が雇い入れなどの際に環境整備や雇用管理についてコンサルタント会社やNPO法人などから助言を受けた場合、費用をカバーする。助成額は最大80万円。実際に障害者を雇い、継続して働いた場合は1人につき最大10万円を上乗せする。
 もう一つの助成金は、加齢に伴い仕事への適応が難しくなった35歳以上の障害者が働き続けられるよう、能力開発や支援者の配置などを行った企業に支給する。
 これらの助成金の新設は、昨年末に成立した改正障害者雇用促進法に盛り込まれた。厚労省は既存の複数の助成金も拡充し、全体でこれまでの約10倍の40億円程度を見込む。
 財源は、法定雇用率が未達成の企業から徴収する「納付金」を活用。法定率を超えて障害者を雇う企業に支給する「調整金」と「報奨金」を減額し、その分を充てる。
 民間企業の法定雇用率は現在、2・3%。2024年4月に2・5%、26年7月には2・7%と、段階的に引き上げることが決まっている。企業が法定率の達成に懸命になる一方、一部で障害者にきちんとした仕事が与えられていないといった課題が指摘されている。
(共同通信社)