かんぽ不正巡る解雇は無効 札幌、日本郵便2度目敗訴

 かんぽ生命保険と日本郵便による保険の不正販売への関与を理由に懲戒解雇されたのは不当として、日本郵便元社員の男女2人が同社に地位確認などを求めた訴訟で、札幌地裁は14日、解雇は無効と判断し、未払い賃金など計約2300万円の支払いを命じた。同社は「主張が認められず遺憾」とし、控訴する方針。

 同種訴訟は札幌と水戸、金沢の各地裁で計6件起こされ、日本郵便側の敗訴は昨年12月の札幌地裁判決に続いて2度目。今年1月の金沢地裁判決は元社員側の訴えを退けた。

 谷口哲也裁判長は判決理由で、2人は当時、社内で求められていた程度の顧客への意向確認や不利益事実の告知をしていたと指摘。「懲戒解雇の客観的合理的な理由は認められない」と判断した。

 一連の不正販売では、旧契約を解約し新契約に加入させる「乗り換え」で顧客に保険料を二重払いさせるなどしていた。

 判決によると、保険販売員だった2人は「意向を十分に把握せず新契約を結んだ」として、2020年8~9月にそれぞれ解雇された。

 判決後に記者会見した代理人の浅野高宏弁護士は「日本郵便は社会的批判をかわすために社員を解雇して改善したように見せている。トカゲの尻尾切りだ」と批判した。

(共同通信社)