陸自隊員自殺、賠償命令 国の責任認める、大津地裁 超過勤務長く続き疲弊

 陸上自衛隊松山駐屯地(松山市)で勤務していた2等陸尉の男性=当時(28)=が2013年にうつ病を発症して自殺したのは過重勤務などが原因として、滋賀県に住む両親が国に約4515万円ずつ計約9030万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大津地裁は21日、国の賠償責任を認め、約3917万円ずつ計約7834万円の支払いを命じた。

 堀部亮一裁判長は男性が長時間の「超過勤務」を長期にわたって余儀なくされ上司らによる適切な配慮もされず、組織的な支援や対応を受けることがないまま疲弊し、自殺に至ったと認定した。

 判決によると、男性は通常業務などに加え、13年4月24日からは野営訓練に参加し、射撃の準備や審査、訓練の成果の報告業務を担当。成果を報告した際、上司が不十分だとして報告し直すよう指示した。男性は同5月9~10日ごろにうつ病を発症し、同27日に自殺した。超過勤務時間は、発症までの1カ月間で約216時間だった。

 両親側は、上司による限度を超えた指導などのパワハラ行為も原因だったと主張。しかし判決は、その上司が男性を日常的に指導する関係にあったとは認められず、男性に対し個人的に非難したり、過重な業務を強いたりした証拠もないとして「許容される限度を超えたパワハラと言うべき指導だったとまでは認められない」と退けた。

(共同通信社)