解雇従業員らの訴え退ける 米ダウ子会社工場閉鎖巡り

 米化学大手ダウ・ケミカルの日本法人子会社「日本アクリル化学」(東京、解散)の元従業員10人らが、名古屋市港区の工場閉鎖に伴い解雇されたのは不当だとして、解雇無効や損害賠償各110万円の支払いなどを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(五十嵐章裕裁判長)は15日、いずれの訴えも退けた。

 判決によると、1962年に稼働した工場は老朽化や製造原価の高さが問題視されており、会社側は操業継続のための投資をしないと判断。2019年12月に従業員らに閉鎖を通知し、20年9月末の解雇を予告した。

 五十嵐裁判長は判決理由で「解雇は、被告の唯一の事業場閉鎖に伴うもので、合理性が認められる」と指摘。閉鎖決定前や解雇前に説明会を開き、14回の団体交渉を実施した上、早期退職制度の提案などで労働者の経済的打撃を和らげる措置を講じていたと指摘し「解雇権の乱用に当たらない」と結論付けた。

(共同通信社)