12月実質賃金増、一時的 物価高で再び減少見通し

 厚生労働省が7日発表した2022年12月の実質賃金は、前年同月比0・1%増で9カ月ぶりにプラスに転じた。新型コロナウイルス禍からの反動回復のほか、賞与の大幅増という一時的な要因が大きく働いた。長引く物価高に比べ月給の伸びは小さく、23年も当面、再び減少傾向が続く見通しだ。

 12月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、名目賃金に当たる1人当たり現金給与総額は4・8%増えた。25年11カ月ぶりの伸び率だが、同様に物価も伸びたため実質賃金は微増に。内訳を見ると、賞与を含む特別に支払われた給与は7・6%増の一方、基本給や残業代を合わせた月給は1・9%増にとどまった。

 物価高への配慮として大企業を中心に「インフレ手当」を支給する動きも一部で見られる。毎月の給与への上乗せよりも一時金支給の形が多い。

 加藤勝信厚労相は7日の記者会見で「物価上昇に対する最大の処方箋は、継続的な賃金の上昇だ」と述べた。政府として企業の生産性向上支援や、働き手の学び直しといった「人への投資」を進めると強調した。

(共同通信社)