2023年02月10日発行 労政時報本誌  4050号 016頁

特集1:本誌特別調査

労使および専門家439人に聞く

2023年賃上げの見通し

日本の賃金水準が低迷を続ける中での急激な物価上昇により実質賃金は前年割れの状況が続き、春闘に向けた “賃上げ機運” は近年にない高まりを見せています。
当研究所では1974年から毎年、賃金交渉の動向を把握するための参考資料として、「賃上げ等に関するアンケート調査」を、労使の当事者および労働経済分野の専門家を対象に実施しており、今回は経営側の回答による「実際の賃上げ見通し」が、労働側回答の水準をわずかながら上回る結果となりました。以下では、『労政時報』第4050号(23.2.10)で掲載した調査結果の主なポイントをご紹介します。

■調査項目に見るポイント

実際の賃上げ見通し:全回答者の平均で8590円・2.75%。98年以来25年ぶりの高水準となるが、定昇分に加え3.0%の物価上昇見通し(22年度)を上回るまでには至らないとの予測
賃上げ見通しにおける労使の差:経営側が労働側を69円・0.01ポイント上回る。経営側が労働側を上回るのは17年以来6年ぶり
望ましい賃上げ:全回答者の平均で1万2770円・4.08%
自社における賃上げ率の見通し:実際の賃上げ率は、「2.0~2.1%」が労働側10.5%、経営側15.8%でともに最多、「3.0~3.1%」が同10.1%、同14.9%で続く
自社における23年定昇・ベアの実施:定昇は、労働側で「実施すべき」が89.5%、経営側で「実施する予定」が93.1%。ベアは、労働側で「実施すべき」が87.4%と、前年の70.8%から16.6ポイント増加。経営側で「実施する予定」は41.6%で、前年の17.0%から24.6ポイント増加
急激な物価上昇への対応方法:労働側では「ベアで対応」が83.0%で最多となり、「賞与・一時金で対応」が39.6%で続く。一方、経営側では「特に対応する予定はない」が33.1%で最も多く、「ベアで対応」の31.5%を上回る

※上記の概要・集計表は、1月30日付け公表の本調査プレスリリース資料でもご覧いただけます ⇒プレスリリース資料はこちら

【調査要領】

1.調査時期:2022年12月2日~2023年1月16日

2.調査対象:被調査者7092人(内訳は下記のとおり)以上または従業員500人以上」を含む)1688社の合計5401社。

労働側 東証プライムおよびスタンダード上場企業の労組委員長等1749人(労組がない企業は除く)

経営側 全国証券市場の上場企業と、上場企業に匹敵する非上場企業の人事・労務担当部長3975人

労働経済分野の専門家 主要報道機関の論説委員・解説委員、大学教授、労働経済関係の専門家、コンサルタントなど1368人

3.集計対象:1月16日までに回答のあった合計439人。対象別の内訳は、労働側238人、経営側101人、労働経済分野の専門家100人。

4.集計要領・方法:賃上げ額・率は、①世間相場(東証プライム上場クラスを想定)の一般的な水準と②自社における見通しについて、定期昇給込みのものを回答いただいた。なお、「賃上げ額」「賃上げ率」はそれぞれ別個に記入いただいたもので、両者の間には必ずしも関連性はない。



『労政時報』第4050号(23.2.10)の特集記事

1.労使および専門家439人に聞く 2023年賃上げの見通し(労務行政研究所)

2.2023年3月卒者の初任給予測(労務行政研究所)

3.人事制度事例シリーズ:ENEOSホールディングス

4.リモート/ハイブリッドワーク環境におけるOJTの活性化

5.先進企業の人事トップインタビュー(1):日本電信電話株式会社
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