雇調金特例、月末に終了 6兆円超支給、失業抑制 財政再建が急務

 新型コロナウイルス禍で従業員を休ませた企業に対し、休業手当の一部を補☆(土ヘンに眞)する雇用調整助成金(雇調金)の特例制度が1月末で終了する。感染拡大以降、支給した額は累計で6兆2千億円を超え、雇用保険財政は積立金から3兆円以上を借り入れている状況だ。失業を抑制する役割を果たしたものの、財政再建が急務。再建に20年以上かかるとの指摘もある。

 特例制度は2020年1月に始まった。感染拡大に応じ、支給額を増やすなど拡充してきた。

 経済活動の再開に伴い、22年10月から1万5千円だった従業員1人当たりの日額上限を1万2千円に縮小。12月に9千円へとさらに引き下げ、23年2月からは従来と同じ8355円に戻る。

 厚生労働省によると、1月6日までの支給決定額は累計6兆2668億円に上る。原資となる雇用安定資金は底をつき、雇用保険の失業等給付の積立金を取り崩して対応している。積立金にどう返済していくのかが今後の課題だ。積立金には、これまで約2兆4千億円を、国がさまざまな政策に使う一般会計から繰り入れている。

 経団連は、返済には約22年が必要になるという試算を示している。

 厚労省は、財政立て直しに向けて4月から雇用保険料率を現在の1・35%から1・55%に引き上げる。ある政府関係者は「今の状況で仮にコロナ並みの危機が到来したら、もう雇用財政はもたない」と、危機感を募らせた。

(共同通信社)