住友生命保険京都支社に勤務する50代の女性外交員が、営業先に配るカレンダーやお菓子などの経費を給与から天引きするのは不当だとして、会社側に約235万円を請求した訴訟の判決で京都地裁は26日、「合意のない控除は労働基準法違反だ」として請求の一部を認め、約35万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2012年10月以降、営業先に配る社名入りチョコレートの購入費や、保険商品の説明に必要な書類の印刷費などを負担した。18年12月までに「天引きに同意できない」と会社側に伝えたが、天引きは続いた。労基法は、使用者の一方的な天引きを禁止している。
池田知子裁判長は判決で「会社側に明確な異議を伝えていた19年1月以降は、合意があったと認められない」と判断した。印刷費については「会社設備使用に伴う経費で使用者が負担すべきだ」として、請求した全期間で支払いを認めた。女性が業務用に契約した携帯電話料金の請求は退けた。
判決後、京都市内で記者会見した女性は「声を上げなければこの判決はなかった」と評価。ただ、代理人の渡辺輝人弁護士は「合意さえあれば無制限に控除を認める判決だ」として、控訴する方針を示した。
住友生命は取材に「判決の詳細を承知しておらず、コメントは控える」とした。
(共同通信社)