大学講師の雇い止め無効 大阪高裁、逆転判決

 有期雇用契約が通算5年を超えたのに、無期契約転換されず雇い止めにされたとして、羽衣国際大(堺市)の元講師の女性(47)が、運営する学校法人に地位確認を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は18日、雇い止めは無効と判断し、学園側に未払い賃金の支払いを命じた。昨年1月の一審大阪地裁判決は、女性の請求を棄却していた。

 労働契約法は有期雇用契約が通算5年を超えた場合、労働者が希望すれば無期契約に転換できると定めている。一方で、多様な人材確保が必要な研究職は、通算10年を超える契約期間が必要との特例がある。

 訴訟の争点は、女性が担当する介護福祉士の国家試験対策が、研究職かどうか。冨田一彦裁判長は、研究職であるかは「具体的事実に基づいて客観的な判断が必要」と指摘。女性の担当講座は「研究の側面は乏しい」として、特例を適用した一審判決を見直した。

 女性は代理人を通して「全国の大学教員が安定した雇用で教育に没頭できればよいと思っている」とコメントした。

 運営法人の羽衣学園は「判決を精査して対応を検討する」としている。

 判決によると、女性は2013年4月から介護福祉士を養成するコースの専任講師となり、18年11月に無期雇用を申し入れたが、19年3月に雇い止めになった。

(共同通信社)