賃上げ5%要求、正式決定 来年春闘へ、連合中央委 物価上昇で水準引き上げ

連合は1日、千葉県浦安市内で中央委員会を開き、2023年春闘で5%程度の賃上げを求める闘争方針を正式に決定した。歴史的な物価上昇を踏まえ、過去7年にわたって4%程度としてきた要求水準の引き上げに踏み切った。労働者の生活維持に必要な賃金を目指す。

 芳野友子会長は、労働者が物価高、円安、新型コロナウイルス禍の三重苦の中にあると強調。「1990年代後半からの慢性デフレから脱却するにはとにかく賃上げが必要だ」と訴えた。

 10月に発表した23年春闘の基本構想によると、基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を月給の3%程度とし、定期昇給分と合わせて5%程度の賃上げを要求。明確な水準としては5~6%とした1995年以来の規模となる。

 格差是正も重要課題としており、雇用形態を問わずに適用される企業内最低賃金は、22年に引き続き「時給1150円以上」を求める。

 中央委ではこれらの方針について採決し、賛成多数で承認された。

 連合によると、22年春闘の平均賃上げ率は2・07%で、コロナ禍前の水準まで回復。一方、物価変動を反映した実質賃金は4月から6カ月連続でマイナスとなっている。

 23年春闘を巡っては、岸田文雄首相が11月の新しい資本主義実現会議で「物価上昇に負けない対応を労使の皆さんに強くお願いする」と発言。経団連は会員企業に向け、ベアを中心に検討するよう訴える考えを示している。

(共同通信社)