職員自殺、市に賠償命令 注意義務違反認定、新潟

 2007年に新潟市水道局職員の男性=当時(38)=が自殺したのは業務で精神的に追い詰められたのが原因として、遺族が新潟市に約7900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、新潟地裁は24日、市の注意義務違反を認め、計約3500万円の賠償を命じた。
 判決理由で島村典男裁判長は、男性は不慣れな業務の中で、上司からの☆(口ヘンに七)責などを恐れ精神的に追い詰められたと指摘。上司は職場の円滑なやりとりが行えるような措置をしておらず、「市に注意義務に違反する過失があった」と認定した。
 一方で、男性は当時中堅職員であったことから「自らの苦境を解消するための対応も可能だった」と判断。遺族が主張していた職場でのパワーハラスメントやいじめ行為は「認めるに足りる十分な証拠はない」と結論付けた。
 男性の自殺について、地方公務員災害補償基金は11年に公務災害と認定。遺族が市に民事調停を申し立てたが不成立となり、15年に提訴した。一時和解協議も進められたが、意見は折り合わず、訴訟は長期化していた。
 中原八一新潟市長は「心より哀悼の意を表する。判決内容を精査の上対応したい」とコメントした。
(共同通信社)