三菱重工1億円超賠償命令 長崎造船所下請けでじん肺

 

 三菱重工業長崎造船所(長崎市)で働きじん肺になったとして、下請け会社の元作業員や遺族計30人が、三菱重工に計約6億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は7日、一部原告の請求を認め、約1億2千万円の支払いを命じた。死亡した人を含め作業員18人のうち、13人への責任を認定した。

 天川博義裁判長は判決理由で「粉じんの発生、滞留状況に大きく影響する作業環境は、三菱重工の管理によるところが大きい」と指摘。対策は不十分で、下請け作業員への安全配慮義務違反があったと判断した。

 原告側は一部請求が認められず、不満が大きいとして控訴する方針。三菱重工は取材に「当社の主張が一定程度、認められたと受け止めている。今後の対応は判決文を精査し、検討したい」とコメントした。

 元作業員は1955~2015年、長崎造船所で船の建造作業などに携わった。原告側は、三菱重工によるアスベスト(石綿)などの粉じん対策が不十分で、じん肺になったと主張していた。

 三菱重工は、じん肺になった社員への補償制度があるが、下請け会社は対象外。安全配慮も尽くしてきたと反論し、請求棄却を求めていた。

(共同通信社)