大企業健保の負担増検討 厚労省、保険料アップも 65~74歳医療費で法改正へ

 

 65~74歳(前期高齢者)の医療費を巡り、給与水準の高い大企業の社員らが加入する健康保険組合の負担を増やす方向で厚生労働省が検討していることが12日、分かった。健保組合によっては保険料引き上げにつながる一方、給与水準の低い健保組合や、中小企業の社員らが入る協会けんぽは負担が軽くなる。

 支払い能力に応じた支え合いの仕組みを強め、健保の財政的な格差を是正する狙い。厚労省は年内に審議会で結論を得て、来年の通常国会に関連法改正案の提出を目指す。ただ、既に高齢者医療費の負担で健保組合の財政は悪化しており、経済界から反発が出そうだ。

 会社員が退職すると、主に自治体の国民健康保険に加入する。加齢に伴って65~74歳は医療費が多くかかり、国保財政を圧迫するため、会社員の健保や公務員らの共済組合が「納付金」を出し合って負担を調整している。

 現行では、65~74歳の加入者数の割合に応じて納付金額を計算しているが、厚労省は給与水準を加味した計算方法への変更を検討。「総報酬割」と呼ばれる仕組みで、給与が高い会社員ほど負担が増えることになる。75歳以上の後期高齢者医療への拠出金では、既にこの計算方法が用いられている。

 納付金の負担が増える健保組合は、財政状況などに応じ保険料の引き上げや、健康診断への補助といった独自給付の削減などを判断する。

 健保組合では、2021年度決算見込みで半分以上の組合が赤字となった。組合全体の保険料収入に占める高齢者医療への拠出金は44%に上る。労使で負担する保険料率は平均9・23%で過去最高だった。

(共同通信社)