上司から暴言を受けてうつ病になったのに公務災害(労災)と認められず不服だとして、宮城県内の市役所に勤める聴覚障害のある男性が、地方公務員災害補償基金(東京)の不認定処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、仙台地裁は20日、請求を棄却した。
大寄麻代裁判長は上司の言動を「障害をやゆし、人間性を否定する侮辱的な行為とまでは言えない」と判断。男性に強度の精神的負荷は与えていないと結論付けた。男性は「障害者差別だ」と訴えていた。
判決によると、男性は教育委員会に勤務していた2004年から3年半の間に、上司からミスをした時に「ばか」と言われた。来客に気づかなかった際、消しゴムを投げつけられたりもした。
男性は08年3月にうつ病と診断された。16年、基金側に公務災害の認定を申請したが退けられ、その後の審査請求も棄却された。
基金は「判決文が届いておらず、コメントは控える」とした。
(共同通信社)