度重なるパワハラ行為で職場の秩序を乱したとして、分限免職処分を受けた山口県長門市消防本部元職員の40代男性が、市に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、男性勝訴の一、二審判決を破棄し、請求を棄却した。
林道晴裁判長は、行為の悪質性や、被害者が市消防職員の半数近くに及ぶことなどを考慮し「分限免職処分とした市消防長の判断が違法とは言えない」と結論付けた。
判決によると、男性は2008~17年、部下ら約30人に、重さ約2・3キロのバーベル用の重りを投げて頭で受け止めさせるなどの暴行や暴言を繰り返した。17年に複数の職員が被害を訴え、市は17年8月、改善の余地がないなどとして男性を分限免職処分とした。
21年4月の一審山口地裁判決は、悪質なパワハラを認める一方、消防組織内では粗暴な行為や言動を黙認する風潮があり「男性個人の性格によるものとは言い難い」として処分を取り消した。21年9月の二審広島高裁判決も支持した。
第3小法廷は、一連の行為が計約80回に上り、報復を恐れる消防職員も相当数いると指摘。「男性を消防組織内に残して適正な運営を確保することは困難だ」とした。
判決を受け長門市は「主張が認められ安堵している」とコメントした。
(共同通信社)