運転手の拘束、月9時間減 トラック過労対策で新基準

 トラック運転手の過労対策を議論する厚生労働省の作業部会は8日、休憩を含む月間の拘束時間の上限を現行より9時間減らし、原則284時間とする新基準案をまとめた。終業から始業までの休息時間(勤務間インターバル)は、これまでより1時間増やして最低9時間を義務付け、11時間以上を努力義務とした。
 厚労省によると、年間の総拘束時間は216時間減の原則3300時間まで。ただ、この上限を適用した場合、月平均の時間外労働が「過労死ライン」とされる80時間となる上、労使協定があれば総拘束時間を100時間まで延長できる規定も盛り込まれた。
 1日当たりの拘束時間の上限は「延長する場合の限度」を15時間と1時間短くしたものの、原則13時間の現行基準は維持した。今後、さらなる労働時間の削減策が求められそうだ。
 2019年の働き方改革関連法施行後も、自動車運転手は特例で一般基準以上の時間外労働が認められている。厚労省は今年3月、バスとタクシーを対象に拘束時間の短縮案などをまとめ、年内にも自動車運転手の労働時間基準を示す告示を全面改正する方針。
 21年度に過労による脳・心臓疾患で労災認定を受けた貨物自動車運転手は53人で、うち17人が死亡。いずれも全職種で最多となっている。
(共同通信社)