総務室長過労死、賠償命令 電子部品メーカーに、愛知

 

 東証プライム上場の電子部品メーカー「MARUWA」(愛知県尾張旭市)の総務室長だった男性が2013年12月、急性心筋梗塞のため57歳で死亡したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が会社に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は26日、過重労働と死亡の因果関係を認め、計約5700万円の支払いを命じた。

 小林健留裁判官は判決理由で、男性の時間外労働は発症直前の1カ月が約69時間、その前の1カ月は約81時間だったと指摘。「移動時間を労働時間に計上していない出張を繰り返し、疲労を蓄積させていた」と述べた。

 会社側は「総務室長はいわゆる閑職で重責を担っていたわけではなかった」と主張したが、小林裁判官は「業務は総務を中心に広範囲にわたり、出張も多く多忙だった」と退けた。

 判決によると、男性は13年12月、県外出張で幹部らと共に乗っていたマイクロバス内でうずくまり、その後死亡した。

 判決後に名古屋市内で記者会見した妻(65)は「夫は頑張り通して会社に命を奪われた。一日も早い過労死のない社会実現を願っています」と話した。会社側は「判決内容を確認していないのでコメントできない」とした。

(共同通信社)