同僚や上司からパワハラやセクハラを受け、うつ病を発症し休職を余儀なくされたとして、高松刑務所に勤務していた徳島県在住の女性職員が国に慰謝料など約613万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、高松高裁(神山隆一裁判長)は31日までに、約226万円の支払いを命じた。時効が成立しているとして請求を棄却した一審徳島地裁判決を変更した。30日付。
2020年4月の一審判決は、国家賠償法に基づく慰謝料の請求権の消滅時効(3年)に関し、ハラスメント行為があった13年ごろを適用の起算点とし、女性が提訴した18年4月までに時効が成立していると判断。神山裁判長は、女性が公務員の労災に当たる「公務災害」と認定された18年10月を起算点とし、時効は成立していないとした。
その上で神山裁判長は、同僚や上司の行為は「指導の域を超えており違法」とし、刑務所長が適切な職場環境を整備する義務を怠ったと認めた。
判決によると、女性は13年4月に刑務官として採用され高松刑務所に配属。13年11月、同僚から「仕事せんやつ大嫌い」などと長時間にわたり罵倒された。同12月、職場の飲み会の帰り道で上司の男性にキスをされた。14年1月にうつ病と診断され15年4月に自殺を図り、その後休職した。
女性側代理人の弁護士は取材に「主張が認められたものと考えている」と話した。高松刑務所を所管する法務省高松矯正管区は「判決の内容を精査し適切に対応したい」とのコメントを出した。
(共同通信社)