職場における学び・学び直し促進ガイドライン

公開日 2022.8.25 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

職場における学び・学び直し促進ガイドライン(しょくばにおけるまなび・まなびなおしそくしんがいどらいん)

 厚生労働省が2022年6月29日に公表した、労働者の学び・学び直しに関する基本的な考え方、労使が取り組むべき事項および公的な支援策などを体系的に示したガイドライン。21年12月の労働政策審議会建議『関係者の協働による「学びの好循環」の実現に向けて(人材開発分科会報告)について』を踏まえ、労働政策審議会人材開発分科会における議論を経て策定された。
 主な内容は、次のとおりである。

(1)基本的な考え方
企業、労働者双方の持続的成長を図るためには、企業主導型の教育訓練の強化を図るとともに、労働者の自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを促進することが重要である。そして、労働者の学び・学び直しの促進は、労使が「協働」して取り組むことが必要となる。

(2)労使が取り組むべき事項

①学び・学び直しに関する基本認識の共有
・経営者による経営戦略・ビジョンと人材開発の方向性の提示、共有

②能力・スキル等の明確化、学び・学び直しの方向性・目標の共有
・役割の明確化と合わせた職務に必要な能力・スキル等の明確化
・学ぶ意欲の向上に向けた節目ごとのキャリアの棚卸し
・学び・学び直しの方向性・目標の擦り合わせ、共有

③労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの機会の確保
・学び・学び直しの教育訓練プログラムや教育訓練機会の確保
・労働者が相互に学び合う環境の整備

④労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを促進するための支援
・学び・学び直しのための時間の確保
・学び・学び直しのための費用の支援
・学びが継続できるような伴走支援

⑤持続的なキャリア形成につながる学びの実践、評価
・身に付けた能力・スキルを発揮することができる実践の場の提供
・身に付けた能力・スキルについての適切な評価

⑥現場のリーダーの役割、企業によるリーダーへの支援
・学び・学び直しの場面における、現場のリーダーの役割と取り組み
・現場のリーダーのマネジメント能力の向上・企業による支援

(3)公的な支援策
「労使が取り組むべき事項」に対応した公的な支援策の紹介。

 厚生労働省は、職場における学び・学び直しを促進するため、ガイドラインの周知を図り、気運の醸成、環境整備の促進に取り組んでいくこととしている。