ウェル・ビーイング指標

公開日 2022.07.27 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

ウェル・ビーイング指標(うぇる・びーいんぐしひょう)

 ウェル・ビーイング(肉体的、精神的、社会的に満たされており、幸福を感じる状態)を測定するための満足度や生活の質に関する指標群。「国の豊かさを把握するためには、GDPのような経済的指標以外にも、国民の生活に対する満足度なども考慮するべきである」という認識の下、2010年頃から、さまざまな国や機関でウェル・ビーイング指標を測定する取り組みが進められている。
 OECD(経済協力開発機構)は、2011年から「より良い暮らしイニシアチブ(Better Life Initiative)」を開始し、「より良い暮らし指標(BLI, Better Life Index)」と呼ばれるウェル・ビーイング指標の分析・公表およびウェル・ビーイングの傾向とその要因に関する理解を深めるための研究プロジェクトを実施している。
 BLIは、人々にとって重要であり、生活の質に関わる暮らしの11分野(住宅、所得、雇用、社会的つながり、教育、環境、市民参画、健康、主観的幸福、安全、ワークライフバランス)と各分野の指標が示され、加盟国の状況が「How's Life?」と題する報告書で公表されている。
 日本では、内閣府が2019年から「満足度・生活の質に関する調査」を実施し、その結果をもとに、日本の経済社会の構造を人々の満足度の観点から多面的に把握した「満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)」を公表している。

【内閣府 満足度・生活の質に関する指標群】

 近年、企業においても独自のウェル・ビーイング指標を定めて、従業員の健康増進や満足度向上を図り、人材確保や生産性向上に結び付ける取り組み(ウェル・ビーイング経営)が行われるようになってきている。メンタルヘルスや働き方などに関する社会的な関心が高まる中で、今後、このような取り組みが日本企業に広がるものと考えられる。