厚労省、副業指針改定へ 容認の有無公表促す 健康管理に留意

 厚生労働省は27日、副業や兼業に関するガイドライン(指針)改定案を明らかにした。企業に対し、副業を認めているのかいないのか、実態の公表を促す。条件付きで認めている場合には、設けている条件の内容も公表。いずれも自社ホームページなどで開示するのが望ましいと記した。
 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会に改定案を提示。出席者からは、副業を進める上で、健康管理などに留意が必要だとの指摘が出た。指針に強制力や罰則はない。7月上旬の改定を予定している。
 就職先を選ぶ人から見て、副業を巡る企業の姿勢を分かりやすくする狙いがある。さまざまな働き方が見られ、副業で収入を得る人や、技量向上を目指す人が増えている状況を踏まえた。
 現行の指針は、企業側に対し、本業の労務に支障がある場合や企業秘密が漏れる可能性がある場合などを除き、副業を原則として認めるのが適当と明記。労働時間の管理法などを示している。労働者側には勤務先のルールを確認した上で、自身の業務量や健康状態を管理するよう求めている。
 分科会で「長時間労働など健康被害が生じないよう改めて周知してほしい」などの意見が出た。
 内閣府が昨年実施した調査によると、従業員千人以上の企業で働く人の43・3%が副業や兼業が禁じられていると回答。「制度を知らない・分からない」と答えた人は14・0%だった。
 政府は「新しい資本主義」実行計画で、特に大企業での副業解禁が遅れているとして「成長分野・産業への円滑な労働移動を進めるため、さらに副業・兼業を推し進める」と明記。指針の見直しに言及していた。
(共同通信社)