国民年金の保険料免除最多 612万人、コロナ禍影響 21年度、厚労省

 

 厚生労働省は23日、自営業者やパートらが入る国民年金について、2021年度の加入・保険料納付状況を発表した。所得が低いため保険料の納付を全額免除・猶予されている人は20年度から3万人増の612万人(21年度末時点)となり、過去最多を更新した。新型コロナウイルス禍による経済状況の悪化が長期化していることが影響したとみられる。

 厚労省は、コロナ禍で大幅減収となった人の保険料の全額または一部を免除しやすくする特例措置を導入している。自営業者やフリーランス、パートらの収入が減って特例措置の対象となり、免除、猶予の人数が増えた可能性がある。全額免除・猶予の人数はこれまで20年度の609万人が最多だった。

 保険料は原則として20歳以上60歳未満の人が負担する。本来保険料を納付する月数のうち、実際に支払われた月数の割合を示す「納付率」は、20年度から2・4ポイント増の73・9%で、10年連続の上昇となった。クレジットカード、インターネットなどによる支払い方法の普及が理由としている。

 都道府県別に納付率を見ると、最も高いのは島根の85・5%。新潟84・8%、富山84・5%と続いた。一方、最も低いのは沖縄の66・8%。他は大阪が66・9%、福岡が69・9%など。

 厚労省は納付率を算定する際に保険料の全額免除・猶予の人を除いている。共同通信が全額免除・猶予の人を含めて納付率を計算してみると、41・4%にとどまった。

 国民年金の加入者(厚生年金に加入している人らを除く)は、21年度末で1431万人。20年度末から18万人減った。厚労省は短時間労働者への厚生年金の適用が拡大しているためとしている。

(共同通信社)