スルガ銀元幹部の解雇無効 東京地裁、合理的理由欠く

 

 スルガ銀行(静岡県沼津市)のシェアハウス向け不正融資に関わったとして懲戒解雇された麻生治雄・元執行役員専務(60)が、スルガ銀行に地位確認と未払い給与など計約2400万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、「解雇は合理的な理由を欠き無効」と判断し、解雇後から定年に当たる60歳まで1カ月当たり50万円を支払うよう命じた。

 判決によると、麻生氏は不正融資問題発覚後の2018年11月、懲戒解雇された。理由は、絶大な権力を背景に審査部門に圧力を加え、無理やり融資を承認させたなどとされた。

 三木素子裁判長は「絶大な権力を示す客観的証拠はなく、原告が無理に融資を押し通したと評価することはできない」と指摘し、解雇は人事権の乱用に当たるとした。

 麻生氏は判決後、東京都内で記者会見し「事実が認められうれしい」と話した。スルガ銀行は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」とのコメントを出した。

 不正融資問題を巡っては、静岡地裁でスルガ銀行が麻生氏を含む旧経営陣らに損害賠償を求めた訴訟が係争中。

(共同通信社)