BOOK REVIEW - 『図解でわかる！ 戦略的人事制度のつくりかた』

■ いざ人事制度の改定に取り組もうとしても、世間には人事制度に関するさまざまな情報が溢れているため、何を参考にしてよいか分からない人事担当者は多いのではないだろうか。抽象的な学術書では実務で活用しにくく、個々のノウハウを羅列したノウハウ本では自社の人事業務の全体像とリンクしないケースが多い。本書はそうしたジレンマを解消すべく、人事の仕事の本質を踏まえた上で、経営戦略や全体構造から個々の要素までを論じ、人事制度改定全体の最適解にたどり着けるようなフレームワークの提示を目指して作られた書籍だ。コンサルティングファームで活躍する3名の著者が、その経験と知見を盛り込んでまとめている。

■ 「はじめに」で人事の果たすべき役割などに触れたあと、「現状分析・改定の方向性」「人材ビジョン・人事制度改定コンセプト」「等級制度」「評価制度」「報酬制度」「導入・運用」の全6章で、人事制度を改定する際に必要なステップや具体的な作業を網羅的に説明していく。「図解でわかる！」というタイトル通り、非常に豊富な図表が掲載されているため、視覚的にも理解しやすい紙面構成となっている。

■ 本書の特徴として、人事業務に関する前提知識が少ない人でも理解できるよう、基本的な概念から説明している点が挙げられる。また、フレームワークを掲載したシートを使って、自社状況を書き込んで作業ができる点も大きな特徴だ。ただ読むだけでなく、実際に手を動かすため、理解が深まることは間違いないだろう。人事制度改定プロジェクトの最中にいる、もしくは改定を検討している人事担当者にとって、実践的に活用できる書籍となっている。