三菱重工業下関造船所(山口県下関市)の下請け会社の作業員だった男性が、粉じんを吸い込んでじん肺を発症し膵臓がんで死亡したのに、下関労働基準監督署が遺族補償を不支給としたのは不当だとして、遺族が不支給処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、山口地裁(山口格之裁判長)は25日、請求を棄却した。
訴状などによると、岡村邁史さん=当時(77)=は1964~2003年に船舶内装工事に従事。粉じんを吸い込んでじん肺となり17年7月、膵臓がんで死亡した。下関労基署は19年2月、遺族補償を不支給とした。
遺族側は「膵臓がんはじん肺による肺機能の低下に関連しており不支給は違法」と主張。国側は「じん肺と死亡との因果関係は認められない」と請求棄却を求めていた。
三菱重工業下関造船所を巡っては、岡村さんを含む下請け会社の元作業員2人の遺族が、同社に計約7千万円の損害賠償を求めた訴訟で今年2月、山口地裁下関支部が岡村さんの遺族に計1430万円の支払いを命じた。原告、被告の双方が控訴し広島高裁で係争中。
(共同通信社)
2022年05月25日 共同通信社