公開日 2022.04.25 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
不妊治療連絡カード(ふにんちりょうれんらくかーど)
不妊治療を受けている労働者が、企業側に治療中であることを伝えたり、企業独自の制度などを利用したりする際に、不妊治療や検査に必要な配慮事項について伝達するためのカード。仕事と不妊治療の両立を行う労働者と企業との円滑なコミュニケーションを図るツールとして、厚生労働省が開発した。任意の様式ではあるが、主治医などが記載する証明書となるものでもあり、厚生労働省は、Webサイトなどを通じて書式例や利用方法を公開して、その活用を勧めている。
不妊治療連絡カードの具体的な活用方法は次のとおりである。
(1)労働者は、不妊治療のため主治医などを受診し、検査や治療を受ける
(2)主治医などから、不妊治療の実施(予定)時期、治療を受けるために特に配慮が必要な事項、その他の事項を記入してもらう
(3)労働者は、不妊治療連絡カードを事業主に提出して、勤務する企業において導入されている休暇制度・両立支援制度の利用を申請する
(4)企業は、不妊治療連絡カードの記入内容に基づき、働きながら不妊治療を受ける労働者への制度の利用を促すことや必要な対応を行う
不妊治療連絡カードの活用に当たり、企業側は、労働者のプライバシーの保護に十分配慮するとともに、不妊治療と仕事との両立について相談したこと、または、実際に社内制度を利用したことなどにより、その労働者が不利益取扱いやハラスメントを受けることがないように配慮することとされている。
なお、厚生労働省は、不妊治療連絡カードと併せて、「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」(事業主、人事部門向け)および「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」(上司、同僚向け)を公開して、企業等において不妊治療と仕事との両立が進むよう支援を行っている。