違法な退職勧奨、賠償増額 山口県警巡り広島高裁

 山口県警光署で2016年に発覚した業務上横領事件を巡り、無関係なのに取り調べを受けて上司から退職を強要されたとして、県警の40代男性警察官が県に500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は21日、80万円の賠償を命じた一審山口地裁判決を変更し、150万円の賠償を命じた。
 一審に続き、当時の県警監察官室の監察官や光署次長による違法な退職勧奨があったと認めた。退職勧奨の手段として、降格や離婚の強要、職務制限、嫌がらせがあったとした。横溝邦彦裁判長は「執拗で組織的に行った違法なもので、悪質性が大きい」と指摘した。
 判決によると、別の署員が逮捕された横領事件で16年10月、男性が取り調べられた際、男性の借金や女性問題が判明。これを受け17年2月の事情聴取で、監察官は「辞表を書いて、組織を去ってくれ」と辞職を促した。次長は「『辞めれ』しかない」と迫った。
 判決後、広島市内で記者会見を開いた原告側の山本直弁護士は「主張が全面的に認められた」と評価。山口県警監察官室は「判決内容を精査して今後の対応を検討する」とのコメントを出した。
(共同通信社)