心理的安全性

公開日 2022.03.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

心理的安全性(しんりてきあんぜんせい)

 組織やチームの中で、自分が気持ちや考えを、気兼ねなく安心して発言できる状態にあること。ハーバード・ビジネススクール教授であるエイミー・C・エドモンドソンが1999年に提唱し、アメリカの大手IT企業が「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という社内調査の結果を発表したことから、世間の注目を集めるようになった。
 心理的安全性が高く、「自分の発言によって、メンバー内の人間関係が悪くなることはない」という確信が共有されていれば、各メンバーがアイデアや意見を素直に発信できるようになる。その結果、チーム内のコミュニケーションが活発になり、次のような効果が期待できる。

(1)メンバーのエンゲージメントが高まる
メンバーのチームへの愛着心が深まり、エンゲージメントが高まる。その結果、退職率が低下して、優秀な人材の外部流出を防ぐことができる。

(2)モチベーションアップとチームワーク促進により、チームの業績が向上する
メンバーが「チームに貢献したい」「チームにおける自分の役割を全うしたい」という意識を高め、モチベーションが向上する。また、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、チームワークが促進される。その結果、チーム全体の業績が向上する。

(3)イノベーションが実現しやすくなる
メンバーが、従来の手法の見直しや革新的なアイデアについて率直に提言し、また、チーム内でそれらを自由に意見交換することができるようになるため、イノベーションが実現しやすくなる。

 心理的安全性は、当初、業績向上やイノベーション促進などの面から注目を集めたが、近年は、メンバーのメンタルヘルスの面からも、その重要性が認識されるようになっている。日本企業においても、心理的安全性を高めるために、管理職に対してリーダーシップ研修を実施する、メンバー同士の自由なコミュニケーションを促すイベントを実施するなどの施策が講じられるようになってきている。