待遇の不利益変更を巡り、山形大が教職員組合と誠実に団体交渉をしなかったとした山形県労働委員会の不当労働行為の救済命令について、大学が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は18日、「労使合意が成立する見込みがなくても、労働委員会は誠実に交渉するよう命令できる」と判断した。裁判官4人全員一致の結論。
「不利益変更から救済命令まで4年が経過し、団交をやり直しても合意は不可能だ」とし、大学の請求通り命令を取り消した二審判決を破棄、審理を仙台高裁に差し戻した。
第2小法廷は「使用者が誠実に団交に応じるようになれば、労使のコミュニケーションの正常化につながる」と指摘。二審の判断には明らかな法令違反があるとした。その上で、大学側の対応が不当労働行為に当たるかどうか、高裁で改めて審理を尽くすよう求めた。
判決によると、山形大の労使は2013年以降、昇給抑制や賃金引き下げについて団交を重ねたが、大学は15年、組合の同意を得ずに実施した。
県労働委は19年、引き下げ幅の根拠の説明が不十分で交渉態度もかたくなだったとして、労働組合法が禁じる不当労働行為と認定し、救済命令を出した。
(共同通信社)